串焼き屋の内装工事について
串焼き屋は、あまり大きなスペースを必要としないので、飲食の経験があまりない方でもかんたんに開業できるというメリットがあります。脱サラして串焼き屋をオープンする方が多いのはそのためですが、だからといって、ビジネスまでかんたんに進められるわけではありません。この記事では、串焼き屋のオープンに際しておこなう内装工事で注意すべき点についてご紹介します。
串焼き屋の物件選び
串焼き屋や焼き鳥屋を開業するに当たり、まず必要なのは営業する場所。物件を見つけなければ営業を始めることはできません。物件を探し、内装と外装のリフォームやリノベーションをおこない、設備をそろえてからようやく開店できます。店舗物件は、スケルトン物件と居抜き物件に分けられ、このどちらを選ぶかにより費用はかなりの違いが出ます。
スケルトン物件は、何も内装がおこなわれていない、躯体がむき出しになっている物件です。そのため、ご自身の好みで店の内装を作り上げられるという魅力はありますが、工事も設備の導入も、すべて自分が主導しておこなわなければならないので、費用がどうしてもかかりがちになります。
居抜き物件は、串焼き屋などの飲食店として使われていた物件です。すでに内装工事され、厨房器具もそろっている場合が多いので、初期費用をかなり抑えることができます。しかし、スケルトン物件のような自由度はありません。このほか、居抜き物件はすでに飲食店として営業していたことから、大家さんからの営業許可を得やすいというメリットもあります。
もちろん、不要な設備もあるかもしれないので、そういうものに関しては自力で処分する必要がありますが、それにしても、居抜き物件のメリットは大きいのではないでしょうか。ただ、ご自身がイメージした内装とは異なる居抜き物件を借りてしまうと、結局は改装するのに多額のお金がかかってしまうこともあるので、残っている内装を活用できるかどうかしっかり考えることはとても重要です。
内装工事をする際に考えるべきこと
串焼き屋の内装工事をする際には、導入する設備が使えるようにしなければなりません。たとえば、串焼きの機械には電気を使うものとガスを使うものがあります。どちらを使用し、そして契約容量を確認しないと、実際に営業する際、問題が発生する可能性があります。ちなみに、串焼きの焼き台は価格もピンキリです。高価な電気式のものは、火力も強く、省エネです。ただ、規模の小さい店舗なら、ガスグリルや炭火の焼き台のほうがよいでしょう。
串焼き屋で避けられないのが煙です。串焼き屋は、排気性能が不足すると、店内の雰囲気にも大きく影響するため、しっかりと煙を外に排出できるように、必要に応じて排気用のダクトを設置します。電気式のグリルは、煙や油汚れを抑えやすいので、状況に応じて導入を検討してみるとよいでしょう。
店の雰囲気
雰囲気作りは、飲食店においてはとても重要です。串焼き屋でも、お酒をメインとしたお店を作るのか、食事をメインとしたお店を作るのか、それにより店の雰囲気は変える必要があるでしょう。
お酒をメインとするならば、想定される顧客はある程度、長い時間は席に座る大人の個人またはグループです。カウンター席のほか、グループ向けのテーブルや、何室かの個室スペースを用意してもよいでしょう。
食事をメインとするならば、お酒のイメージはなるべく弱め、特定のターゲット層が入りやすいお店作りを心がけます。たとえば、30~40代のファミリー層が多いエリアなら、小さな子どもを連れても入りやすいような雰囲気作りをするとよいでしょう。
店のレイアウト
どんなスタイルの串焼き屋を作るにしても、店のレイアウトをしっかり考えなければなりません。特に頭を悩まされるのが、串焼きスペースの設置場所です。
串焼きスペースを店の入口付近にすると、テイクアウトのお客さんへの対応がしやすく、煙を外に排出しやすいというメリットがあります。しかし、手前に串焼きスペースがあると、配膳がやりにくくなってしまうというデメリットも生まれます。
反対に、串焼きスペースを奥にすると、スペースを効率的に使いやすく、配膳も楽です。店のレイアウトには難しさがありますが、今後のビジネスの行方を左右することにもなりますので、内装工事を依頼する前にしっかり検討しましょう。
アットホームな感じを出すのもアイデアのひとつ
お酒をメインにするにしても、食事をメインにするにしても、忙しく、にぎやかな雰囲気にすることをあえて避け、落ち着けるアットホームな雰囲気にするのもアイデアのひとつです。
自宅改装型店舗
特に串焼き屋の場合、くつろぎのときを求めて、ひとり、お忍びで訪れるというお客さんもいらっしゃいます。もし、個人や少人数のグループをメインの顧客と考えるならば、少し雰囲気を落ち着かせた、こちらもある意味アットホームな雰囲気のお店もよいでしょう。
住宅街などでは協定により難しい場合もありますが、自宅を改装して串焼き屋を開くという方法もあります。究極のアットホームといえるかもしれません。もちろん、住宅地の場合は、騒音や煙について、商業地区よりも余計に慎重になる必要はありますが、自宅改装型の店舗は、アイデアとしてはとてもおもしろいのではないでしょうか。
常連さんにフォーカスした店もあり
串焼き屋は、ほかの形態の飲食店よりも、スタイル的な自由度が高い…これまでご紹介してきたように、お酒をメインにするにしても「高級志向」「庶民的」「グループ」「隠れ家的」など、店をオープンするに当たり、さまざまな顧客層が求めているスタイルに、臨機応変に対応しやすいことは、串焼き屋のメリットです。
特に、開業資金にあまり余裕がないという場合は、限られたスペースの物件しか選べない可能性が高いので、少人数の常連さんにフォーカスした店作りもおおいに考えられます。
ただ、このような店を作る場合、顧客は、種類や質は異なるとはいえ「癒やし」を求めて店に立ち寄ることに違いはありません。そのため、カウンターに顧客が窮屈に座らなければならないようでは、癒やしを求めている顧客の心はつかめないかもしれません。
この辺りは、店のコンセプト作りとなるので、そうかんたんにはいかない部分です。しかし、顧客が何を望んで店を訪れるのか、漠然と考えるだけではなく、リサーチと分析をおこなったうえで、インテリアなどの設計に落とし込んでいくことが大切です。
まとめ
串焼き屋は、飲食店の中でも、比較的かんたんに始めることができます。開業資金として、1000万円程度用意できれば理想的ですが、店の規模によっては800万円も用意できれば十分に始めることが可能です。さらに、条件のよい居抜き物件を見つけることができれば、さらに200~300万円程度、資金をセーブすることができます。ただし、既存の内装をうまく使って、改装範囲をできるだけ抑えるようにしましょう。
店のインテリアについては、やはりリフォーム業者に相談するのが一番です。現在、インターネット上で業者を比較できる「比較サイト」がいくつかあるので、利用してみましょう。比較サイトでは、たとえば、出店を予定している地域にある業者を、さまざまな要素で比較・検討できます。そしてさらに、条件の良さそうないくつかに絞り、相見積りを依頼すると、内装工事の適正金額の検討がつくはずです。